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ピエール瀧はどんぐりおじさん

vol.16 歓喜のライトスタンド

「WE!」2005年11月号掲載



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以前このコラムでも書いたオイラがひいきにしている千葉ロッテマリーンズ。そのマリーンズが今年はプレーオフに進出しました。
昨年はファイターズに1ゲーム差でプレーオフ進出を阻まれ、今年はその悔しさをバネに見事シーズン2位でフィニッシュ。プレーオフ第一ステージをホームで向かえる事ができました。相手は昨年の日本一西武ライオンズ。
前日の第一戦の松坂を2−1で勝利し、今日勝てば宿敵ホークスとのプレーオフ第二ステージ進出が決定するその試合にオイラは千葉マリンスタジアムにいました。
今まで見た事もないくらいの満員のスタンド。そしてホームカラーの白の多さ。産毛がゾワゾワと逆立つ様な緊張感。そして祈りにも似たスタンドの応援の統一感。“負けてはいけない試合”の独特の雰囲気が球場全体を包んでいました。
試合は今季最多賞の西口から初回に先制点を奪ったマリーンズがペースを握り、終盤まで3−1とリード。8回に一服するために喫煙所に出てきたオイラにひとりの若者が声をかけてきました。
「瀧さん!今日も来てるんすね!」「オウ!あたりめーよ!」
実は前日の第一戦もしっかり来ていたオイラ。声をかけてきたのは昨日も同じ場所で遭遇した若者でした。
「瀧さんよかったら9回にライトスタンド来ません?」
若者にそう声をかけられてオイラはちょっと迷いました。なぜならオイラ観戦は好きだけど応援はちょっと苦手。
「最後ですから盛り上がりましょうよ!応援団に顔きくんで!」
“盛り上がり”という単語にめっぽう弱いオイラ。せっかくなんでそいつと一緒にライトスタンドに行く事にしました。
ライトスタンドに来てみると内野席やバックネットとはガラリと雰囲気が変わり、若いのから野球好きの中年までが“マリーンズ命”で熱狂中。最近ファンになったオイラとしてはそこに居るのがちょっと申し訳ないと思っていたんですが、最終回も2アウトになるころに「ハイ瀧さんもコレ」と当然のように小さく切った新聞紙の束を渡されました。「勝った瞬間にバラまきますから」といってはいろんな人に新聞紙の束を手渡す応援団。そうか、マリーンズってもう何十年もこの感じを味わってないのかと思うとオイラも“是非味わいたい”に気持ちが変わってきました。そして勝利の瞬間。
「ウオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
という大歓声と共に飛び交う新聞紙。その量は一瞬目の前が薄暗くなる程の量で、スタンド全体がハッピーと安堵と歓喜に支配されました。
これまでマリーンズを支えてきた応援団。ある者は生活を投げ打ち、ある者は敗北に涙し、ある者は川崎時代から見守り続け、ある者は不甲斐ない選手を鼓舞し続けた。その苦労と喜びを共に共有できた貴重な瞬間にオイラの頬はゆるみっぱなしでした。そしてちょっとだけ涙腺もゆるんだのでした。やっぱいいな〜野球って。