vol.31 国技館置き引き騒動(前編)
「WE!」2007年2月号掲載
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先日、両国国技館に大相撲の初場所を見に行った時の出来事です。
2階の椅子席で見ていたオイラの前では老夫婦が観戦していまいた。つまみを食べながらお酒も結構進み、結構楽しんでいた様に思います。そして取組みが「さあこれから三役の登場だ」というクライマックスにさしかかった頃です。突然奥さんが口を開きました。「アレ?あたしのコートがない!」。
奥さんは右隣に座っていた旦那に「知らない?」とまず聞きました。旦那が「知らない」と答えると、今度はそのまた右隣のひとりで見にきていた大相撲ファンの若い男の子にも「知らない?あたしのコート」と聞きました。男の子が「は?知らないですねえ」と答えると、そこから奥さんの様子が一変しました。自分の椅子の半径2Mを狂ったように探し始めたのです。しかも何度も何度も。その様子は何かに取り憑かれた妖怪のようでした。
奥さんはひとしきり探し終わった後、旦那に言いました。「やっぱりあの外人よ」と。奥さんの説明によるとどうもこんな感じです。
自分は早い時間に来ていたのだけれど、自分の左隣には外人のカップルが座っていた。外人が言うには、「ココは自分達の席ではないのだけれど、まだ席が空いているので今だけココに座っている。誰かが来たらどくつもり」との事。奥さんは、後から来た旦那を迎えに国技館の入り口に向かう際、外人に荷物の見張りを頼んだ。戻って来ると外人達は自分の席ではなく後ろの列の席、つまりオイラが座っている席に移動していた。
オイラはそれを聞いて思い出しました。確かにオイラが席に来た時に外人が座っていたなあと。
そこから奥さんのもの凄い自己弁護が始まりました。「まさか外人がコートを盗むとは思わない」「せっかく親切に話しかけたのにそんな事されてがっかり」「確かにココに置いたのよ」と。しかもそれを旦那でなく大相撲ファンに向かって話すのです。しかも何度も何度も。見どころの取組みの最中にもかかわらず、土俵そっちのけで赤の他人に。大相撲ファンは明らかに困惑顔でした。そりゃそうだ。そんなの知らないっつーの!というか、そもそも知らない外人に荷物の見張りを頼むババアが悪い。どういう神経してんだっつーの!(続く)