vol.49 アリを覗く
「WE!」2008年8月号掲載
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最近アントクアリウムにハマっています。
アントクアリウムというのは、弁当箱くらいの大きさのプラスチックの箱で、中に着色されたゼリーが入っています。まず、どこからかアリを捕まえてきてその中に放つと、アリはその中で生活を始めます。土壌となっているゼリーは栄養たっぷりのエサにもなっているので、アリは閉ざされた空間の中で生き続ける事ができます。そのうちアリは穴を掘って巣穴を作り始めるので、我々人間様は半透明のゼリーの中に掘られたアリの巣をじっくり観察して楽しむ事が出来ます。
「そりゃ面白そうだ!オイラ覗くの大好き!たとえアリでも!」と、どんぐりマネーで店員の横っ面をひっぱたいてアントクアリウムを購入してきたオイラ。早速近所の公園でアリを十数匹誘拐してきて箱の中に投入しました。
最初はパニック丸出しで箱の中を無軌道に歩き回っていた哀れなアリ達でしたが、数日すると驚くべき行動を起こしました。なんと一カ所に集まって相談を始めたのです。ちゃんと頭をつき合わせて。アリのくせに!
オイラは「何をヒソヒソ相談しとるのだ?もしかしてこんな事をしたオイラへの仕返しか?だとしたら怖っ!」と一瞬思いましたが、後に冷静になって考え直した結果「これは巣穴を作るための土木工事の相談に違いない。ならば存分に掘りたまえキミ達!」と期待して見守る事にしました。しかし、その後1週間立っても2週間経ってもアリ達は一向に行動を起こさず、いつまでも相談を続けているのです。
これはさすがにおかしいと気づいたオイラ。試しに別の巣穴からアリを捕まえてきて、箱の中のアリと見比べてみました。するとどうでしょう。新たに捕まえてきたアリは今までの“相談アリ”とは明らかに頭の大きさが違うのです。しかも新しいヤツは牙もデカく無骨な感じもします。「う〜む、これはオイラひょっとして“働かないアリ”に期待して今まで眺めていたのかも」と、現代社会の問題点ような原因に気づいたオイラは、今までのアリを全員フッ!とベランダから吹き飛ばして解雇し、新しい無骨アリを箱に入れて布団に入りました。
翌朝、箱を覗いてみるとたったの一晩で見事に巣穴が出来上がっていました。それを見たオイラは「う〜む、使えるヤツはやっぱり使える!」と初歩的な真理に改めて気づかされたのでした。それからはアリの巣穴を上から下からナナメから覗きまくって楽しんでいます。