vol.58 安打製造機の記憶
「WE!」2009年5月号掲載
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イチローが張本の持っていたプロ野球最多安打記録(3085本)をついに塗り替えました。新記録のヒットが出た瞬間にセーフコフィールドの電光掲示板に映し出された「New Japanese Baseball Record」の文字をバックにいつものように表情ひとつ変えないイチロー。そしてスタンドからは静かなスタンディングオベーション。スタンド席でそれを見つめながら笑みを浮かべる張本。非常にいい光景でした。
「イチローの実力ならば当然の事。というか通過点でしょ?」とつい感じてしまいそうなこの出来事なのですが、実は日本球史に残る大偉業達成です。しかも前記録保持者の張本は国内だけで作った安打記録ですが、イチローの場合は途中からよりレベルの高いメジャーに移ってからの記録なので同じ3085本でも価値が全然違います。なんかこの調子だとピート・ローズの持つ安打世界記録(4256本)も本気で塗り替えそうな勢いです。マジで凄いですね、イチロー。おめでとう!そして拍手!
野球に関して言えばオイラから上の世代は実に幸運な世代と言えます。なぜなら王とイチローの現役プレーを実際に見ることができたのですから。片や世界のホームラン王、そして片や世界最高の安打製造機。この2人の選手の実際のプレーを両方とも見ることができたという事は、人生において貴重な財産です。
将来の子供や孫たちが聞くでしょう。「昔、王って選手とイチローって選手がいたんでしょ?それでホームランとヒットをたくさん打ったんでしょ?」と。すると自分はこう答えます。「そうだよ。一本足打法と振り子打法と言ってな。いいか?これが一本足打法で、これが振り子打法。かっこいいだろ?そりゃエレガントな2人だったよ」「何それ~。ヘンなフォーム。漫画みたい~」「ははは、そうだな。でもあの二人は実際漫画以上だったよ。しかも二人とも世界記録をもっているんだぞ!すごいだろ!」「ふ~ん。じゃあボクも何か打法を考える~!」
このようにして我々は将来、記録の目撃者として後世にイチローと王の活躍を嬉々として語り伝えていく事になるでしょう。ベーブ・ルースやタイ・カッブ、サイ・ヤングといったような歴史でしか名前を知らないような選手達と同レベルの選手をふたりも目撃したのですから。素晴らしい!何たる幸運!