vol.59 おぞさん
「WE!」2009年6月号掲載
皆さんお元気ですか?どんぐりおじさんです。
さて皆さん、人生においておじさんの次に何が待っていると思いますか?おじいさん?う〜ん、それはそうなんですが、ちょっと違います。その答えは『おばさん』です。
人間、年を取って行くとだんだん性別の差異が少なくなってきます。大体60歳を過ぎたあたりから、男性の場合は体力が減少して体躯が細くなり、小さい事にウジウジするようになり、迫力がみるみる減って行きます。女性の場合は“お肌”などとは呼べない地面の様なプリミティブな外観になり、ファッションからは遠ざかり、奥ゆかしさを捨て去ってどんどん豪快になっていきます。要するに人間は年齢と共に、おじさんは『おばさん化』し、おばさんは『おじさん化』して性別が消滅してしまうという訳です。この性別が消滅した状況を仮に『おぞさん』と呼ぶ事にしましょう。
更に、このおぞさん状態を突き進めてみると、その先には物忘れやボケといった脳の衰えからくる“霧の世界”が待っており、大抵の人間はその霧に包まれながら人生の終焉を迎えます。
このプロセスは何かに非常によく似ています。それは子供の成長過程です。おぞさんになると、子供の成長のちょうど逆の流れがおこるらしいです。
子供は生まれたばかりの時には性別による個体の差異がほとんどありません。女の子だからといって、赤ちゃんが女の子らしい仕草をするという事はありえません。しかも新生児なんかは目もうつろで、反応は鈍く、日本語もまったく通じません。この状態は年寄りに置ける“霧の世界”と非常に良く似ています。しかし子供の場合は、その後だんだんと性別による差異がはっきりとし、知識をつけていきます。
要するに人間は、赤ちゃんとして生まれて成長して行く過程を、老人になると逆にたどって死んで行く生き物だという訳です。
『赤ちゃんになって死ぬ』
こう考えるとなんだか少し心がやすらぐ感じもします。しかし、こうも考えられます。
『老人の状態で生まれる』
これは相当しんどい感じがしますね。やだなあ。