TEXT

ピエール瀧はどんぐりおじさん

vol.69 安倍川の宇宙人

「WE!」2010年4月号掲載



donguri68S.jpg
これはオイラの叔母さんから聞いた昭和20年頃の宇宙人の話。
当時瀧家は貧乏の部類だったらしく、静岡の安倍川という川辺のだだっ広い空き地に建てた長屋のような所に一家全員で住んでいたそうです。
ある日の夕方、父親(おいらから見ると祖父)が畳敷きの居間で酒を飲んでいました。その傍らに叔母さん(当時はまだ子供)は座り、何をするでも無く父親が酒を飲んでいるのを眺めていたそうです。
外は夕暮れでオレンジ色に染まり、そろそろ夜の帳が降りようとしている頃でした。
叔母さんが何気なく父親の後ろの窓に目をやると、開け放たれた窓の外側から誰かが家の中を覗いていたらしいのです。
驚くのはその風貌で、全身が茶色の皮膚で覆われていて、鼻と口は小さく、耳はとがり、目が極端に大きかったそうです。しかも目の部分には黒目しかなく、頭の大きさと比べても目の大きさが異常に際立っていたそうです。身長はおよそ140センチくらい。窓の枠から頭部分だけが見えていたのでだいたいそのぐらいだろうとの事でした。
その異常な来訪者を見た叔母さんは悲鳴をあげそうなくらいビックリしましたが、「でもこの人は静かに家の中を覗いているだけ。これといって悪さをした訳ではない」と思い直し、「悪人でもない人を変に怖がらせてはいけない」と、そのままにしておいたそうです。そして少しばかりの時間が経過し、もう一度窓枠を見た時には訪問者はいなくなってしまっていたそうです。
この話をオイラにしてくれた叔母さんは、ウチの親戚衆の中でも実直で真面目な部類の人であり、とても作り話をするようなタイプの人ではありません。なので、この目撃談はおそらく本当に叔母さんが体験した事だと思われます。
しかし驚きなのは目撃した対象のルックスが宇宙人に激似というところです。
今でこそ宇宙人の代表格と言えばリトルグレイですが、当時はまだそんな情報など日本には出回っておらず、叔母さんはリトルグレイについてまったく知らないハズなのにほぼ同じ形の生き物を当時目撃しているのです。(色が茶色なのは除く)
さらにこの話を裏付けるのかどうかは判りませんが、当時静岡では奇妙な光を放つ飛来物が目撃される事件が新聞をにぎわせていたそうです。
これらの事柄を総合すると、オイラには叔母さんが宇宙人を目撃したとしか考えられません。しかし、その宇宙人(仮)が、窓の外からおっさんが酒を飲んでいる姿を眺めていたという部分と、叔母さんがやさしい気持ちでそれに対応したという部分がオイラの確信を鈍らせています。なんだかほのぼのとした気持ちになってしまい、せっかくの宇宙人モードから遠ざかっちゃうんですよね。
みなさんのまわりにもこういった素朴なオカルト話ってないですか?もし面白いのがあったら教えてください。