vol.81 有事のCM
「WE!」2011年3月号掲載
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この原稿を書いている現在(3月16日)、テレビでは東日本大震災の惨状を連日伝えています。
人生を賭けてこつこつと積み上げて来たものを、突然の地震と津波で一瞬にして失ってしまった被災者の皆さんには心からお見舞いを申し上げます。一日も早く笑顔を取り戻せますように。
さて、震災当日から1〜2日間はCM無しでスクランブル放送を続けて来た民放各社ですが、ここにきてとある組織のCM(?)がCM枠のほとんどを占めるようになってきました。
それはAC(旧公共広告機構)のCM。
「広告の持つ伝達力や説得機能をいかし、社会と公共の福祉に貢献する事」を目的として設立されたこのAC、民放各社や有名企業等がこの理念の元、共同で運営しています。要するに企業の利益ではなく、社会の利益になるような活動をしていこうという事なのでしょう。
さてこのACのCM、前述の通り立派な名目で製作されているのですが、皮肉な事に、このCMが連発されている時は気分が穏やかでない場合(有事の際)がほとんどです。
思い起こしてみると、アメリカ同時多発テロ(9.11)の時にもこのACのCMを繰り返し見た気がするし、さらには阪神大震災の時にも大量に目撃し、「ほほう、有事の際のCM枠の放送はこんな事になるのか。ま、企業の宣伝は確かにしにくいしなあ」と感じた記憶があります。
しかし、見ている側の本音としては、緊迫感のある報道、ACの道徳的なCM、そしてまた緊迫感のある報道と、絶え間なく連続して見させられるので、脳が箸休めをする瞬間が皆無になり、その結果としてだんだん感情が圧迫されてぐったりしてきます。「そうね、思いやりね。うん、ちゃんとしているのはいいんだけどさ…、もうわかったっつーの!」という感じに。道徳心の膨満感とでもいいましょうか。これでは意味がありません。
例えば、今現在の様に日本がピンチの時にはもうちょっと前向きな「がんばろう日本!」みたいな内容のモノも同時に放送する事はできないものなのでしょうか?普段テレビに登場しないようなシロウトさんを多用したりなんかして。
その結果として「なんか、俺もがんばれそうな気がする!」とも思えるでしょうし、他にも「あのおばさんだけ化粧やたら濃くね?」とか「ナイスなハゲっぷり!」とか「右から2人目、石原良純に激似!」といった脳の箸休め効果も期待できると思うのですが。
このくらいの内容ならば、有事が起きてからでも製作&O.A.が間に合いそうな気がします。次回の有事の際はどうですか?ACの皆さん!